博物館でお仕事をさせて頂いていると、明治・大正・昭和と人々の生活を
支えるために使われていた道具に出会う機会が多くあります。
こちらの道具もそんな古道具の一つで、大工の親方だった祖父が持って
いたものです。特殊な形状をしたノミで、祖父が弟子の時代に親方から譲って
もらったと言うので、短く見積もっても80年以上前のものとなります。
柄は硬い材の「カシ」の類。ノミは木材を削る時、柄の部分を金槌で
叩きながら使用するので硬くて潰れない材でないとダメだそう。
そして、鋼の部分は新潟から来ていたそうです。当時、祖父の周辺(福島)では、
鎌にしても鍬にしても鋼はだいたい新潟から来ていたと言っていたので、
そちらの産地を調べたら何か分かるような気もしなくはないです。
こうした道具は今となっては使う人はほとんどおらず、ましてたいした値など
付かないでしょうし、人によっては「こんなのどうすんの?」という代物です。
だからこそ、そう簡単に手に入るものではありません。
特に私にとっては、道具としての歴史以外にも祖父の歴史が詰まった大事な道具。
誰がなんと言おうと私のお宝です。
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