今年の4月に購入したものの、
遅々として読み進まず
ようやく読了したこの本。
長かったです。
原作タイトルは「The Over story」
日本語訳された
本書のタイトルは「オーバーストーリー」
そのままだ。
ストーリーというと、多くの日本人は
物語と読み取るのだろうけど、
基本的には「樹冠(層)」を指し、
層、階層を意味しているらしい。
(辞書を見る限り、私は?だけど)
そして、私たちが連想する物語という
意味もstoryにはあるので、
訳者は「物語を超える物語」とも
捉えられると言っていた。
深いな。
この本、何度も言いますが長いです。
そして、登場人物がやや多く、
個々の人物の話が
木に導かれるようにして
それぞれで展開していきます。
やがて登場人物たちは合流しますが、
ある事件を機にまたバラバラになり、
再びそれぞれの人物ごとに話が進行します。
こんな風に、それぞれの人物の話が
細切れに進んでいくので
人物の名前や背景なんかが途中で
わけわからん状態になりがちです。
(でも読み返す気にもなれない)
668ページに及ぶ物語。
ほんと、長かった。
個人的には、新鮮さはなかった^^
自分の中ですでに
存在する物語だったので。
ただ、自然破壊や保護、気候変動
という複雑な問題をうまく文字化、
(ここでは登場人物たちを使って)
表現しているので、
私もこれくらい深く語れたらなぁ、と
少し反省しながら読みました。
それとは別に、
自分の中にある
自然破壊やそれに伴う
気候変動に対する思いや
自然物を見るときの感性を
再確認するような描写が多くあり、
興味を引きました。
特に樹木では、
そうしたものが出てくるたび、
あぁこれ好きだわぁ、
という喜びにも似た
好奇心に駆られました。
例えば、
ある人物の子供時代では
「葉の形が一枚一枚違う桑の木に苛立つ」
描写があり、
そこまで細かい表現いる?
なんで入れた?と思いつつ
木が好きな人が書いたように思え、
同類のニオイを感じて好感が持てたり、
また、
「ブラックウォルナットの葉痕は猿の顔に似ている」
とあり、
ああ日本のオニグルミと一緒ね!
と親近感が湧いたり、
さらに、
ヤマナラシの葉が風に揺れる音を
「上品な喝采」
と表現する所なんてもう
たまらんかったです。
もしかしたら、
樹木や昆虫、鳥、あらゆる「自然物」を
風景の一部として見逃してしまっている人は
新しい感覚を得られるのかもしれません。
紅葉の季節や、目立つ花を咲かせる時は
目に入れるのかもしれませんが、
普段から今日の葉っぱ、今日の虫の動き、
なんて一つ一つのことを
多くの人は気にしてませんよね。きっと。
知らんけど。
この本の中では、そうした
小さな気付きに導いてくれそうな
感受性や感性に目覚めかけている人は
新鮮な面持ちになれそうだけど、
それらが眠ってしまっている人や
理屈でがんじがらめになっている人は、
この表現はだから何なのよ、とか、
何なんだ?何が言いたいの?
となりそうな本でした。
それにしても、長かったな。
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